教育

絵本作者からのメッセージ 『こいぬのくろちゃん』の哀れな可愛らしさを楽しんでほしい

くろちゃん

こんにちは、夫婦ブロガーのペギー@3男児の母です。

今回は、大切な気持ちを教えてくれる絵本をご紹介します。

 

『こいぬのくろちゃん』 きもと ももこ 作 (福音館書店)

くろちゃんは、何だかとっても寂しそうな表情をした黒い子犬です。お腹が空いたり、遊んでほしい時には「きゅうきゅう」と鳴きます。頭を少し下げて鳴くので、何とも心細そうです。

飼い主の足にじゃれつくタイプではないくろちゃんですが、そこが何とも可愛らしい。ついつい守ってあげたくなってしまいます。

ふかふかのお布団でねむりにつくくろちゃんの表情は、とても安心しています。おやすみなさい、くろちゃん。

絵本の主人公である「こいぬのくろちゃん」は、作者家族に大切な気持ちを教えてくれた存在のようです。

作者の言葉を少しお借りしながらご紹介したいと思いますので、どうぞ最後までおつき合いください。制作エピソードを知れば、絵本の世界をもっと深く楽しめると思いますよ。

 

「きゅうきゅう」と鳴く 子犬の「くろちゃん」

こいぬの
くろちゃん
きゅう
きゅう
きゅう

おなかが
すいたよ
きゅう
きゅう
きゅう

(『こいぬのくろちゃん』より)

 

「きゅうきゅうきゅう」と鳴く「こいぬのくろちゃん」は、何だか元気がなさそうに見えます。

ご飯を食べても、すぐに「きゅう」と鳴きます。
ボールで遊んでも、すぐに「きゅう」と鳴いて、何だか悲しそうです。

 

それもそのはず。作者の家に連れて来られたくろちゃんは生後2か月。母親から引き離されて、作者家族の住む遠い地へやってきたのです。

ご飯を食べたり、遊んだりしているときは、少し気分がよくなって「わんわん」と鳴くことはありますが、すぐに寂しい気持ちを思い出してしまいます。

母親から生後2か月で引き離されたくろちゃんは、顔にたくさんのしわを寄せて悲しそうに「きゅうきゅうきゅう~」と鳴いた。(中略)私たちには、くろちゃんの哀れな様子が逆にとても可愛らしく感じられた。(中略)くろちゃんはみんなに愛されて大きくなった。(作者のことば くろちゃんとの出会い より)

 

くろちゃんの心細さと作者家族のくろちゃんに対する愛おしい気持ちが、ひしひしと伝わってくる、そんな絵本です。

 

『こいぬのくろちゃん』を読んだ時の子どもの様子

絵本の読み聞かせ
子どもと一緒に読む絵本は、楽しいものや可愛いもの、物語が圧倒的に多いです。子どもと一緒に「きゃっきゃ、きゃっきゃ」しながら読むのは本当に楽しいです。

 

しかし、『こいぬのくろちゃん』では様子が少し違いました。

 

くろちゃんの哀しそうな表情、「わんわん」ではなく「きゅうきゅう」と鳴く切ない雰囲気。子どもたちは静かに眉間にしわを寄せていました。

 

「わんわんーないねー(=犬なのにわんわんと鳴かないの?)」と次男@2歳。

「犬=わんわん鳴く」がインプットされている子どもたちです。「犬だって、わんわん以外の鳴き方をして、自分の感情を伝えようとするときもあるんだよ」と、長々と説明することは避けました。

その代わり「そうだねーわんわんって鳴かないねー、きゅうきゅうって鳴くんだねー」と子どもの言葉に寄り添ってみます。

「うーん」と言いながら、納得したのか、何でかなーと思っているのか分からないような返事をする次男。

 

それでよいと思います。

 

絵本の楽しみ方は月齢とともに変化する

机で絵本
子どもたちは同じ絵本を何度も読みたがります。読むたびに新鮮な気持ちが芽生えるらしく、どんどん絵本にのめり込んでいきます。

はじめはストーリー全体を楽しみ、メインのシーンで「きゃっきゃっ」と喜んでいたかと思うと、何度も読んでいるうちにメインのシーンではない描写に反応し始めます。

「おっきーねー」とか「えーん、えーんねー(=泣いてるねー)」とか、挿絵の隅の方を指さして「ちょうちょ、ちょうちょ♪」と見つけたちょうちょを嬉しそうに眺めたり。

 

最近では、楽しそうなシーンばかりではなく、怖そうな描写にも反応を見せ始めました。

私が子どものころから大好きな絵本に「あさえと ちいさいいもうと」があります。私が小さい頃、怖くてどきどきした場面があります。我が子にも「あさえと ちいさいいもうと」を読み聞かせていると、例の怖い場面が出てきました。子どもも眉間にしわを寄せて心配そうに絵本を眺めています。

感情移入しながら絵本を楽しむことを覚え始めたようです。

 

『こいぬのくろちゃん』の「くろちゃん」は、どうして哀しそうな表情をしているのでしょうか。「きゅうきゅう」と鳴く時と、「わんわん」と鳴く時の気持ちはどう違っているのでしょうか。

そして、安心したように眠りにつく「きもちいい」をどう捉えるのでしょうか。

 

「くろちゃん」が作者家族にとって大切な存在に


絵本のモデルになった「くろちゃん」を作者が引き取ってきたのには理由があります。

作者家族の大切な存在だった犬のPさんが死んでしまったからです。

作者家族はPさんの代わりになる犬を再び飼いたいと思うようになります。そして、見つけたのが「くろちゃん」だったのです。

 

私がパソコンで見つけたくろちゃんの写真はPさんにそっくりで、私たち家族はとても喜んだ。(中略)ところがくろちゃんは私の考えていたような子犬ではなかった。体毛は薄く、なんとも哀れな様子で、少しだけ頭を下げ、震えながら心細そうに「きゅーん」と鳴いた。くろちゃんはPさんに全く似ていなかった。(中略)私たちには、クロちゃんの哀れな様子が逆にとても可愛らしく感じられた。誰もPさんに似ていない、なんて文句は言わなかった。(作者のことば くろちゃんとの出会い より)

 

最初は、Pさんの代わりになる犬を考えていた作者家族でしたが、同じ存在は二度と存在しないことに気づき、今、目の前にいる、小さくて哀れで可愛らしい子犬に愛情を注ごうと決心したのです。

 

唯一無二の存在に気づくきっかけになった「くろちゃん」

 

亡くした生き物を他のもので代用することができないのは当然ですが、おもちゃや身近な道具でも同じことです。

「自分の大事なもの」を大切にていねいに扱う心を子どもたちには知ってほしい

 

「このおもちゃは、壊れたら代わりのものはないからね」と言う私たちに対し、「また買ったらいいやん!」と言う長男@4歳。

ペギー
ペギー
うーん

物があふれかえる現代において、我が子に「くろちゃん的存在」を教えるのは親のつとめですよね。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

絵本が生まれるきっかけを知ると、作者の思いやメッセージを感じやすくなります。そして、より深く絵本の世界を楽しむことができます。

皆さんもぜひ、『こいぬのくろちゃん』の世界に触れてみてください。

 

『こいぬのくろちゃん』は我が家の本棚にやってきたばかりの絵本です。これから何度もくり返し読まれる絵本になっていくことでしょう。

子どもたちの反応を楽しみにしつつ、親として思うところてんこ盛りで絵本の読み聞かせをしてあげたいと思います。

ABOUT ME
ペギー(ヨメ)
ペギー(ヨメ)
ペギー(ヨメ)です。
10年以上、塾の講師として働いていました。幼児から中学生までの子どもたちと接してきた時間は私の貴重な宝物です。こどもたちの可能性は無限大!!
3男児の母となった今、育児に奔走する自分をブログにつづりつつ、これまでの先生としての経験が誰かのお役に立てればいいなと思いブログの更新をがんばっていきます。

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